日用品・キッチン用品
視覚障がい者の願いから生まれた雨音の静かな傘。雨の日を心地よく安全に。
サイレントアンブレラ
視覚障がい者の願いから生まれた雨音の静かな傘。雨の日を心地よく安全に。
Umbrella with a gentle rainfall sound born from the wishes of the visually impaired makes rainy days safe and comfortable.
サイレントアンブレラ
Silent umbrella
丸安洋傘株式会社
MARUYASUYOUGASA.Co., Ltd.
雨の日の外出時、雨が傘に当たる音で、周囲の音がかき消されてしまった経験はないだろうか。ここに着目して開発されたのが、1966年創業の丸安洋傘が手掛けた「サイレントアンブレラ」だ。従来の傘は、雨をはじく音が大きく、後方から来る車や信号機など、安全に関わる音が聞き取りづらい。だが、この傘は雨粒の衝撃音を低減するので、周囲の音がクリアに聞こえるのだ。開発のきっかけは、視覚障がいのある方からの一本の電話。「雨音のしない傘は作れないか」という相談だった。視覚障がい者にとって、音は周囲の状況を知るための大切な情報だが、雨の日の外出は雨が傘に当たる音で周りの音がかき消されるため、とても不安だという。同社は初めて知る事実に衝撃を受け、すぐに開発に取り掛かった。
しかし、協力業者に相談するも「そんなものは無理だ」と、解決に繋がるような答えは得られない。そんな時、「衣服だと雨音がしない」ことに気付き、開発が一気に進む。様々な生地を試すうちに傘を2層構造にすることを思いついた。1層目をメッシュ生地にして、衝撃を和らげるとともに雨粒を細かくし、2層目の一般的な傘の生地で水をはじくというアイデアだ。こうして2層構造にする方向性は決まったが、いざ制作に取り掛かると、その難しさに直面する。まず、1層目のメッシュ生地は、一般的な傘には使用しないため、生地の裁断に使用する木型を新たに作る必要があった。さらに張力などの微調整も必要で、試し張りを何度も繰り返さなければいけない。また、傘の布部分は三角形のパーツを縫い合わせて作るが、そのパーツの大きさや接着加減に少しでもズレがあると傘にシワができてしまう。そもそも「2層構造の傘」は前例がないため、最適な形になるまで何度も試作を重ねる必要があり、作業工程は通常の傘に比べ2倍となった。
こうして、修理を受け付けられる体制も整えて、これまでにない新しい傘が誕生。国内で10社未満ともいわれる、傘の一貫生産ができる同社だからこその高い技術力が、斬新な製品を生み出した。本製品は「雨音低減効果を有する雨傘」として特許を取得している。また、日傘として使用すれば2層構造が太陽熱を緩和し、木陰のような涼しさを実現。
製品化してすぐ、同社には盲学校などから「はじめて使用したときに、驚きと感動で歓声が上がりました!」といった喜びの声が寄せられた。
視覚障がいのある方だけでなく、使う人すべての雨の日の外出をより安全にする雨傘。ぜひ一度試してほしい。
This umbrella has two layers: a mesh fabric over regular fabric. The first mesh layer softens the impact of raindrops, thereby reducing rainfall noise. In particular, the sound of a car approaching from behind is easier to detect.